Taize: Music of Unity and Peace
レーベル: Deutsche Grammophon (Universal Music)
収録時間: 67分51秒
このアルバムについて
テゼは、美しい歌で祈りを捧げることでも世界的に知られています。このアルバムは、クラシックの老舗レーベル、ドイチェ・グラモフォンの国際スタッフとテゼのコラボレーションにより生まれたアルバムです。
このアルバムには一般に「テゼの歌」として世界中で歌われている短い繰り返しの歌だけでなく、フランスのテゼで日常的に歌われている他の種類の曲(3番、6番、9番、15番など)も収録されており、巡礼地であるテゼを訪れているような雰囲気に包まれる一枚だと思います。
レコーディングは、2014年6月30日~7月4日に、ドイツの高校生たちを中心とするごく少人数の聖歌隊で行われました。(一部の曲は、その週滞在していた2,500人とともに歌われています。)
「この優れた、抒情的で心に触れる音楽は、幅広い聴衆に受け入れられる価値があるものです。音楽には、変化をもたらし、隔ての壁をなくす力があります。テゼの歌の比類ない質の音楽がそれを証ししています。」
レコーディングの様子 (YouTube)
テゼの歌の特徴は、繰り返して歌うスタイルの短い単純素朴な黙想的な歌です。それぞれ歌には固有の原語があり、ヨーロッパの様々な言語で作曲されています。テゼで歌われているのと同じように、このアルバムではそれぞれの原語で歌われています。
テゼの歌は、クラシック・ギターを伴奏に歌います。歌の一部は、歌のソロを重ねて歌うことができますが、このアルバムでは主に英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語でソロパートが歌われています。
収録曲(作曲者 / 原語)
- The Bells of Taizé - テゼの鐘
- Veni Sancte Spiritus (J. ベルティエ / ラテン語)
- イントロダクション - Seigneur, ouvre mes lèvres (J. ベルティエ / フランス語)
- Bless the Lord (J. ベルティエ / 英語)
- Laudate Dominum (J. ベルティエ / ラテン語)
- Répons: Le Verbe s’est fait chair(テゼ / フランス語)
- Beati voi poveri (テゼ / イタリア語)
- Jubilate, coeli (J. ベルティエ / ラテン語)
- Psaume 63 (J. ジェリノー / フランス語)
- Bleibet hier (J. ベルティエ / ドイツ語)
- In manus tuas, Pater (テゼ / ラテン語)
- Surrexit Christus (J. ベルティエ / ラテン語)
- Gospodi pomiluj C (ロシア正教 / ロシア語)
- Aber du weißt den Weg für mich (テゼ / ドイツ語)
- Cantique de Siméon (J. ベルティエ / フランス語)
- Jésus le Christ (J. ベルティエ / フランス語)
- De noche iremos (J. ベルティエ / スペイン語)
- Ubi caritas et amor (J. ベルティエ / ラテン語)
- Let all who are thirsty come (テゼ / 英語)
入手方法
このアルバムは、一般のCDショップの店頭で購入することができます。
解 説
各曲の意味や特徴について詳しく知りたい方は、追記の解説をご覧ください。
(独断と偏見による解説・・・)
1/ The Bells of Taizé - テゼの鐘
テゼで一日に3回の祈りの始まりを知らせるのがこの鐘の音です。
2/ Veni Sancte Spiritus (J. ベルティエ / ラテン語)
ヴェニ・サンクテ・スピリトゥス (聖霊、来てください)
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 10番
ラテン語で「聖霊、来てください」という意味で、テゼの代表的なペンテコステの歌です。たった2小節の短い歌ですが、複数のソリストや様々な楽器が入って豊かに展開していきます。
ソリストが歌っているのは、「聖霊の続唱」といって、11世紀にはすでに捧げられていた聖霊を求める伝統的な祈りの言葉とエゼキエル書37:9からとられた言葉。ここでは英語とドイツ語で歌われています。
ソリストが歌っているのは、「聖霊の続唱」といって、11世紀にはすでに捧げられていた聖霊を求める伝統的な祈りの言葉とエゼキエル書37:9からとられた言葉。ここでは英語とドイツ語で歌われています。
この曲は始まり方が決まっています。一定のリズムで刻むギターの低音から始まり、最初はバス、次にアルト、ソプラノ、テナーとメロディーが重なってゆきます。ハーモニーが完成したところへ美しいオーボエの旋律が入り、歌のソロへと続いていくシークエンスがとても美しいです。
3/イントロダクション: Seigneur, ouvre mes lèvres (J. ベルティエ / フランス語)
主よ、わたしの唇を開いて下さい (Seigneur, ouvre mes lèvres)
(楽譜は公開されていない)
1961年エルサレム聖書サルター(礼拝用の詩編集)の100編II-IVまで、日本の聖書でいうと、詩編51:17、70:2、詩編100の内容がフランス語で歌われています。
ブラザーだけがアカペラで歌う、このような種類の歌は、今でもテゼでたびたび歌われます。短い旋律を会衆が繰り返し歌う今のスタイルになる前には、このような歌が主にささげられていました。
この曲で私が興味深いと思うのは、ジェリノーではなくジャック・ベルティエの詩編唱だということです。テゼの詩編唱は全部ジョセフ・ジェリノーが作っていたと思っていたからです。
フランス語の詩編(サルター)を歌うといえば、もうひとりの主要な楽曲提供者であるジョゼフ・ジェリノーが有名です。もちろんジェリノーも、詩編100を作曲しています。アドベント(待降節)の歌なのですが、比べてみると作曲者の特徴がよくわかり、大変興味深いです。
補 足:
ジョゼフ・ジェリノーはそれまでラテン語で捧げていたミサを自分の言語で歌うということを目指していましたが、この流れが第2バチカン公会議と一致して、ジェリノーは公会議の典礼音楽で重要な役割を果たすこととなりました。ジェリノーの詩編唱は世界の典礼に大きな影響を与え、日本の答唱詩編もこの流れをくんでいます。答唱詩編ができるまえには、ジェリノーの歌を詩編に用いる教会もありました。
ブラザーだけがアカペラで歌う、このような種類の歌は、今でもテゼでたびたび歌われます。短い旋律を会衆が繰り返し歌う今のスタイルになる前には、このような歌が主にささげられていました。
この曲で私が興味深いと思うのは、ジェリノーではなくジャック・ベルティエの詩編唱だということです。テゼの詩編唱は全部ジョセフ・ジェリノーが作っていたと思っていたからです。
補 足:
ベルティエがこんな美しい詩編唱を作っていたとは。世に出ることとなり、うれしい限りです。ブラザーたちだけ歌う曲もとても美しいですね。
4/ Bless the Lord (J. ベルティエ / 英語)
わが心たたえよ
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 5番
日本でもよく歌われている定番のテゼの歌です。歌の言葉とソロパートは詩編の103編からとられたものです。
この曲については、個人的には他の録音も聴いてみることをお勧めします。ごくわずかにテンポが早く落ち着かない感じが若干するのと、楽器や歌のソロはもっと控えめでいいと思うからです。特に、女性ソリストのしゃくり(入れてはいけない)が目立ち、少し残念。
テンポどおりだとこうなります。
(テンポに迷ったら、インストゥルメンタルのCDを聴くとよいです。計ったことがありますが、驚くほど楽譜に忠実に演奏されています。)
この曲については、個人的には他の録音も聴いてみることをお勧めします。ごくわずかにテンポが早く落ち着かない感じが若干するのと、楽器や歌のソロはもっと控えめでいいと思うからです。特に、女性ソリストのしゃくり(入れてはいけない)が目立ち、少し残念。
テンポどおりだとこうなります。
(テンポに迷ったら、インストゥルメンタルのCDを聴くとよいです。計ったことがありますが、驚くほど楽譜に忠実に演奏されています。)
5/ Laudate Dominum (J. ベルティエ)
たたえよ神を
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 15番
バロックのワルツのような。テンポの早い3/4拍子の歌。テゼの代表的な喜びの歌です。テゼの音楽を知っている人なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。歌詞は詩編117:1からとられたもの。
この曲はソロのパートが重要な役割を果たしています。代表的な喜びの歌といいましたが、歌詞には喜びの言葉が出てこないので、ソロパートが入って初めて喜びの歌となるのです。ソロパートは、詩編117、66、150と喜びに関する箇所が歌われています。
この録音で特に素晴らしいのは、イタリア語で歌われる男性のソロ。この方はオペラ歌手ですが、彼は普段と歌い方を変えているのですね。
プロの歌手がテゼのソロを歌うときによくあるのは、自分の声しか聞かずオペラ声で周りを圧倒するというものですが、彼の声は美しいけども、決して支配しません。周りをよく聞き、サポートしています。
ところで、テゼでは基本的にソリストはつねに一人で歌いますが、この曲は重唱で終わることができます。これはイタリア語で歌われるドクソロジー(栄唱)です。「栄光は父と子と聖霊に、始めのように今もいつも世々に、アーメン」 伝統的に、詩編の最後に捧げられる祈りの言葉です。
この曲も、個人的には他の録音も聞いてみることをお勧めします。1拍目のアクセントと休符を強調するあまり、若干ブチブチと細切れのように聞こえますが、通常もう少しレガートに歌います。
他の録音を聴いてみると印象が違うと思います ↓
6/ Répons: Le Verbe s'est fait chair (テゼ / フランス語)
答唱: み言葉は肉となり
(楽譜は公開されていない)
オルガンを伴奏にブラザーたちだけで歌われる歌です。
歌詞はヨハネによる福音書1章より。
7/ Beati voi poveri (テゼ / イタリア語)
さいわい さいわい
(日本語の歌集には未掲載)
8/ Jubilate, coeli (J. ベルティエ / ラテン語)
喜び歌え
(日本語の歌集には未掲載)
(日本語の歌集には未掲載)
9/ Psaume 63 (J. ジェリノー / フランス語)
詩編63
10/ Bleibet hier (J. ベルティエ / ドイツ語)
目覚めてとどまれ
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 42番
父よゆだねます
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 47番
キリストよみがえりぬ
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 56番
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 56番
あわれみたまえ
(日本語の歌集には未掲載)
(日本語の歌集には未掲載)
14/ Aber du weißt den Weg für mich (テゼ / ドイツ語)
主よあなたを見つめ続け
(日本語の歌集には未掲載)
(日本語の歌集には未掲載)
15/ Cantique de Siméon (J. ベルティエ / フランス語)
シメオンの賛歌
16/ Jésus le Christ (J. ベルティエ / フランス語)
イエス内なる光
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 24番
歌詞は聖アウグスティヌスの言葉。『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 24番
17/ De noche iremos (J. ベルティエ / スペイン語)
いのちの水もとめ
(日本語の歌集には未掲載)
(日本語の歌集には未掲載)
18/ Ubi caritas et amor (J. ベルティエ / ラテン語)
いつくしみと愛の
『すべての人よ主をたたえよ』(サンパウロ) 3番
いのちの水に
(日本語の歌集には未掲載)
(日本語の歌集には未掲載)