「テゼの人たち」(Taize people)という表現を日本でも海外でもよく耳にします。これは誰のことを指しているのでしょうか。
「テゼの人たち」は100名しかいない
フランスのテゼ村では、テゼのブラザーたち、テゼに協力する他の修道会の人たち、テゼに協力する青年ボランティアたち、そして訪問者たちが、緩くつながったコミュニティをなしています。
しかし、「テゼ共同体」は、男子の修道会の名前です。テゼ共同体(Communauté)と言う場合、そのメンバーは、終生誓願をたてた男性の修道士のみを差します。現在は100名ほどです。ブラザーのうち3割ほどは、海外の貧しい地域で暮らしているので、フランスにいるのは70名ほどです。
テゼで女性の受入れを担当しているのはシスターです。青年の受入れを手伝うために派遣された、聖アンデレ修道女会など伝統的なカトリックの修道会のシスターです。シスター方は日中テゼで活動していますが、隣村のアメニーにお住まいです。
テゼの運営は、数週間~1年ほど長期で滞在する青年のボランティアによって大部分が任せられています。彼らは「パーマネント」と呼ばれます。長期のパーマネントは、ブラザー見習いとしてたてられることがありますが、ほとんどの若者は数週間・数か月過ごして帰っていく、期間限定の滞在者です。
その他の大多数は、一週間滞在して帰る訪問者です。訪問にあたって特に条件はなく、誰でも訪れることができます。これらの訪問者は、お客さんではありますが、テゼのメンバーではありません。
フランスのテゼに行ったことがあるという方も、一日3回の祈りを共にするという他には、ブラザーがどんなところに住んでどんな一日を送っているのかという基本的なことですら、正確に知る人はほとんどいないと思います。
訪問者は、限られたブラザーとしか接点がないのです。「テゼ」という場合、無数のテゼの協力者たちや訪問者ではなく、ほんの小さなグループの修道士たちを指しています。
日本にテゼの人はいない
日本には80年代にテゼのブラザーたちが拠点を置いていたことがありますが、現在では日本に支部はありません。現在、日本人のブラザーはテゼにはいません。
ブラザーたちが日本を去った後に始まったのが「黙想と祈りの集い」で、これをボランティアで支えている人々がいます。なかには、個人的にテゼのブラザーと連絡を取り合っている人もいます。彼らはテゼの友人ではありますが、テゼのメンバーでも代表でもありません。
ほとんどは、日本で「黙想と祈りの集い」に参加し、朗読や音楽を頼まれるうちに定期的にお手伝いするようになり、自分の教会でも見よう見まねで集いを始めたという人々で、テゼやその祈りのスタイルに関する理解も人それぞれです。こうした人々は全国に何百人もいると思います。
祈りの中でテゼの曲を歌うのに特に許可は必要ないので、それぞれの教会で自由に用いることができます。つまり、これらの集いの多くは、テゼ共同体が知らないところで企画されているものです。
度々、「テゼはこうだ」という意見を耳にすることがありますが、よく聞いてみると「それってテゼとはまったく関係ないのでは?」ということがあります。